岩手県議会への請願提出
12月の要望書に引き続き、3月県議会へ請願を提出しました。
岩手県民の命と暮らしを守るための請願
請願事項
- 原子力発電から代替エネルギー利用発電へ移行する政策を推進するよう、国に求めること。
- 代替エネルギーへ移行する暫定期間、県は青森県並びに宮城県の原子力事業者と安全協定を締結すること。
- 県は原子力施設の過酷事故災害を想定した防災計画を策定すること。
請願趣旨
東京電力福島第一原子力発電所は、東北地方太平洋沖地震と津波による全電源喪失により冷却機能を失い、炉心を溶融損傷させ、環境中に放射性物質を大量に放出させた。
これにより岩手県内では県南の一関を中心に放射能汚染が危惧されるエリアが生まれ、県都盛岡市内でも汚染箇所が見つかり、教育施設の除染が実施された。幸いにして農業や水産業への顕著な被害は生じなかったが、この先も被害が生じないという保証はない。現在も福島第一原子力発電所では収束に向けた作業が続けられていますが、原子炉内がどのような状態なのかも確認出来ず、国は現在停止中の原発の再稼働を進めようとしている。
福島第一原子力発電所の事故と1986年に起こったチェルノブイリ原発事故は、原発の過酷事故が与える影響の甚大さを私たちに教えてくれた。その影響は一つの地域や国にとどまらず、地球全体を放射能で汚染させてしまう。もちろん、すべての事故が地球全体に影響を与えるとは言えないが、小規模の事故でも影響が百キロや二百キロ圏内に及ぶ事は明らかである。地震の多発する日本では事故が必ず起きると考えるべきであった。また、福島第一原発は津波による電源喪失以前に、地震によりどの程度の損傷を受けたのかは全く不明であり、収束後の調査が待たれている。国内の活断層もすべてが認識調査されておらず、未知の活断層の存在も指摘されている。このような現状で私たち県民は地震のあるたび不安になり、女川原発は大丈夫だろうか、東通り原発は、六ヶ所再処理工場は、と心を痛めている。
地方自治体と原子力事業者との安全協定については、福島第一原発事故までは立地県以外の締結例はなかったが、福島第一原発の事故により隣接県や隣接自治体との締結を求める声が大きくなっており、昨年12月25日には鳥取県と隣接島根原発の中国電力が、防災重点地域圏外としては全国で初めて安全協定を結んだ。住民からすれば県境を超えて放射性物質が飛んでくる訳で、当然の要求と言える。
以上のことから、岩手県としても県民の命と暮らしを守るため、上記三点にわたる事柄を速やかに実行するよう請願する。
請願提出にあたり六ヶ所問題対策委員を中心に地元選出の議員への説明を行いました。当初の案にあった「原子力発電をやめ」という文言に民主党から修正提案があって変更したり、地域政党いわてからは「原発再稼働反対なので暫定期間・安全協定という文言は容認できない」と言われるなど様々な意見を聞くことが出来ました。それぞれの会派で検討してもらいましたが、紹介議員になってくれたのは自由民主クラブ・高橋孝眞議員と社民党・小西和子議員の二人だけでした。
3月16日の環境福祉委員会と21日の本会議を傍聴しましたが、結果は「継続審査」となりました。地域政党いわてと共産党は請願事項1について「採択」の意見を出しましたが、その他の会派は意見もなく「継続」。議員は党議拘束があるので個人の意思では判断しないということがよくわかりました。
しかし今回の活動で私たち有権者が議員に働きかけをし心を動かすことができることも分かりました。「もっと調べてから」とか「慎重に検討したいから」継続なのか?かかわり合いたくないから継続なのか?など疑問だらけでしたので、次回6月議会に向けてさらに議員への働きかけを続けて行きます。
(佐藤 直子)